玄関スロープは必要?メリットとデメリットについて
エクステリア計画を進めていくとき、同居や自分の将来を見据えて「玄関スロープ」を設置するか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
玄関スロープがあれば、車椅子だけではなくベビーカーも通りやすいので、とても便利です。しかし、玄関スロープを設置することにはメリットだけではなく、デメリットもあります。
今回は、玄関スロープを設置したときのメリットとデメリット、介護保険についてお伝えしてきます。スロープの設置を悩んでいる方は、最後まで目を通してみてくださいね。
玄関スロープを作るメリット
まずは、玄関スロープを設置するときのメリットから見ていきましょう。
車椅子やベビーカーでも簡単に通れる
玄関スロープを設置する一番のメリットは、「バリアフリー」になることです。車椅子やベビーカーでも段差を気にすることなく、スムーズに移動できます。
とくに、車椅子にはたった1cmの段差でも障害になります。階段の段差は15〜20cmほどあるので、介助人の手を借りなければ自力で上り降りすることはできません。
しかし、スロープを設置しておけば、車椅子に乗って自走することができます。
そして介護保険の被保険者と同居している場合、介護目的でリフォームを行うと「介護リフォーム」の補助金の対象となることがあります。
介護保険については、後ほど詳しくみてみましょう。
段差がないから安心
段差があると心配なのは、足が不自由な人や足元が不安定なお年寄りだけではありません。小さなお子さんにとっても、段差は危険なものです。
たった1段の段差でも、お子さんは踏み外したりつまづいたりして転倒してしまう可能性があります。実際に、4歳までのお子さんの事故の多くは、自宅で起こっています。事故を未然に防ぐためにも、スロープを設置しておくと安心です。
見栄えに高級感が出る
スロープは玄関周りの「装飾」として、エクステリアを美しく演出します。表面仕上げを「砂利の洗い出し」にしたり、周辺をレンガや天然石で装飾したりすると、高級感漂うエクステリアに。
「スロープを設置すると玄関がゴチャついて見えそう」と心配になっていた方も、安心してください。使用する素材や周辺のアイテムによってイメージは大きく変わるので、しっかりとプランニングを行えば玄関がゴチャつく心配はありません。
玄関スロープを作るデメリット
住宅がバリアフリーになり、お子さんと住むときにも安心な玄関スロープ。一見メリットしかないように思いますが、実はいくつかデメリットもあるのです。
ここでは、玄関スロープを設置するときのデメリットをしっかりと確認しておきましょう。
階段よりも広さが必要になる
玄関スロープを設置するためには、階段よりも広い敷地が必要になります。一般的なスロープは、10cmの階段を上がるためには120cmほど必要です。そのため、高低差があればあるほど広さが必要になります。
たとえば、段差が30cmのスロープを車椅子で自走するときには、以下の計算式でスロープの長さを計算します。(参考:スロープガイド)
- 30cm(段差)×12=360cm
この場合、360cmを直進することは難しいので、折り返して設置することになりますが、折り返しを考えると、200cmほどは横幅が必要になるでしょう。
そして、玄関前に200cmもスペースを確保するとなると、駐車場との関係も考えなくてはなりません。スロープを設置するときには、エクステリア全体のしっかりとしたプランニングが必要です。
工事費用が高額になってしまう
スロープを設置するときには、階段よりも費用が高額になってしまいます。手すりや装飾なしのシンプルなスロープであれば、20万円前後で設置することができますが、安全を配慮するのなら手すりは必要です。
しかし、手すりを設置すると、工事費用は30万円以上はかかってしまいます。
また、リフォームの場合は階段や塀の解体費用や、玄関の整地も必要になるかもしれません。そうなると、費用はますます高額に・・・費用が高くなってしまうことは、やはりデメリットと言えるでしょう。
そこで、活用したいのが「介護リフォーム」の補助金です。次は、介護リフォームについて詳しく説明していきます。
玄関スロープは介護保険が適用されることがある
介護目的でスロープを設置したときには、介護保険から補助金が支給されます。ここでは、介護リフォームについて詳しくみていきましょう。
介護リフォームとは?
まず、介護保険とは国が行っている福利厚生制度のひとつで、介護を必要としている人が適切な介護を受けられるための制度です。
満40歳以上の人は、介護保険に加入し、介護保険料を納める義務があります。そして、要介護認定を受けたときには介護給付を受け取ることができます。ただし、39歳以下の方は介護保険を利用することはできません。
スロープを設置したときに介護リフォームの補助金の支給額は、最大で「18万円」です。
介護リフォームを補助金を受け取るための条件
そして、「介護保険」による介護リフォームの補助金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 要介護認定されていること
- リフォームをする住宅が被保険者の住所と一致すること
- 被保険者が福祉施設や病院に入院していないこと
補助金を受け取るためには、介護認定されていることが必須条件です。「要支援1・2」または「要介護1〜5」のいずれかに認定されていなければなりません。
そして、介護保険被保険者の「介護保険被保険者証」に記載されている住所と、リフォーム場所の住所も一致させる必要があります。
最後に注意しておきたいのが、被保険者が自宅に住んでいることです。福祉施設や病院に入院している場合には、自宅に住んでいるとは言えないため、補助金の支給対象外となってしまいます。
まとめ
玄関スロープを設置すると、転倒事故を防ぐことができます。足元の不安定なお年寄りやお子さんと住むときには、段差がなくなるだけでも安心ですよね。
しかし、スロープを設置するためには広いスペースが必要になるので、駐車場や庭の広さも考えながらプランニングを行うことが大切です。
そして、一番心配なのが「費用」ですよね。スロープを設置すると、工事費用は階段よりも高額になってしまいます。そこで、利用したいのが「介護リフォーム」です。もし、両親や39歳以上の要介護者と同居するのであれば、介護保険も活用してみてください。
外構・建築関連の会社で15年の勤務後に独立、埼玉外構を設立。お客様に喜んで頂けるよう、リーズナブルなエクステリアプランをご提案しています。